同じ長さの細かい音符が並んでいるとき、音の粒をそろえて弾くことが美しく演奏するために必要です。しかし長さも太さも違う5本の指をコントロールして長さを同じにし、音量もデコボコしないようにそろえて弾くことはことのほか難しいもの。次の5つのポイントに注意して、粒の揃った美しいパッセージを目指して練習してみましょう。
指の形に気をつけて指先を立てて弾く
指の腹で弾かない
音の粒をそろえるためには指先で鍵盤をつかんで弾くことが大切です。
そのためには第1関節を丸くし、指先が鍵盤に対して立った状態でないといけないのですが
年少のお子さんだとまだ指の関節が弱いので指の第1関節が凹み、鍵盤を指の腹で弾いてしまいがちです。
しかしその状態ではなかなかそれぞれの指の動くスピードとタッチの強さをコントロールすることがうまくできません。
「第1関節を丸く」と指の形に意識を向けると指先の向きや位置がそろってタイミングと音量をコントロールしやすくなります。
5の指を寝かさない
5の指は一番細く弱い指でまた一番外側にあるので、音量を出そうとして手を外側に倒し、指の側面で弾いているのをよく見受けます。
4と5の指が連続するときにくっついて転びやすいのは5の指を弾くときに余計な手の回転の動きが入って5が寝てしまうしまうためで
これも5の指の指先を丸くして立て、指先で鍵盤を弾くように意識すると改善されます。
1の指はどこで弾くか
手をぶらぶらっとさせて力を抜いてからポンっと手を鍵盤の上に乗せると、1の指は少し内側に曲がり爪の横の辺りが鍵盤に当たります。
その場所が1の指で一番音量やタイミングをコントロールしやすい場所なのですが、弾くことに一生懸命になると力が入って1の指が外側に向かって伸び、関節で辺りで弾いてしまっている人が多いです。
関節には音色やタイミングをコントロールする繊細さがありません。脱力して自然に1が内側を向くのが理想ですが
力が入って外に向くなら力を入れてでもいいので1の指を内側に曲げ、爪の横で弾くことを心がけてみてください。
いい手のフォームで弾くことが粒をそろえることにつながっていくんだね。
指は鍵盤のそばで
弾いていない指がお出かけしないように
それぞれの指には個性があります。長さが違い、太さが違い、動きやすさが違う。
鍵盤から指を上げて弾こうとすると
- それぞれの指の上がる高さが違う
- 動くスピードが違う
- 鍵盤にタッチするまでにかかる時間が違う
ということになりタッチのタイミングコントロールするのが難しくなります。またタッチの強さもばらばらになります。
1の指は弾いていないときには鍵盤から落ちてしまいやすく、いざ弾かなくてはいけないときに弾くべき鍵盤にたどり着くのに時間がかかり遅刻することも多々。(笑)
それらのことを防ぐためにも
弾いていないときも指はお出かけさせず鍵盤の上でお留守番させましょう。
弾いていない指はいつも鍵盤に置いておき、音を弾く前に指は上げずに鍵盤に触ってから弾くようにします。
ピアノを弾く=指を一生懸命上げて動かす
というイメージをお持ちの方が多いと思いますが
極論を言えば指は上げなくて良いです。
鍵盤は下に下がるもので元の位置より上には上がりませよね?
鍵盤の深さは約1cmですので弾くべき鍵盤を指先で触ってから
1cm押し下げ
1cm戻ってくればいいのです。
余計な動きは不安定のもと。指を鍵盤から上げて離してしまうとミスタッチの可能性も大きくなります。
鍵盤に指をほぼくっつけたままにして無駄な動きがなくなればタイミングや強さのコントロールもしやすくなりミスも減ります。
ですが指を上げないのは音を出す前。
弾き終わった指は元の位置まで上げて次の音に受け渡しましょう。
上げてこないと次の音と重なって音の粒がはっきりしなくなるので注意してください。
心の中で1音ずつ喋る
音の粒をそろえるにはすべての音を意識下において支配しなくてはなりません。
そのために一音一音心の中で音の名前で歌ってみましょう。
音の名前で歌うのが難しければ「ララララ」でも「タカタカ」でも何でもかまいません。
言葉を当てはめてみてもいいですね。
3連符が続くパッセージだったら私は自分の名前を「パウゼパウゼ」って繰り返してま~す。
とにかくすべての音を心の中でも発音することが大切です。
拍のまとまりを意識する
拍頭を長めに弾くつもり
音の粒をそろえる=音の長さと強さをそろえて弾く
ということだと思い皆さんここまで読んでこられたと思うのですが
実は
そのように聞こえるように弾くということであり
実際には全部の音を完全に均等に弾くというわけではありません。
ちょっと裏技っぽいですが
1拍のまとまりを意識して
拍の頭の音に少しアクセントをつけて(少しだけですよ!)ほんの少し長めに弾き
あとの音をおまけみたいに軽めに弾いてみてください。
あら不思議、自然ときれいに粒がそろったわ!
全部の音を全く同じようにガシガシ弾いてしまうと粒の大きさはそろいますが美しくありません。表拍と裏拍の重さの違いを感じながら弾くことで一音一音が音楽として美しい粒になっていくのです。
よく聞いて確認
さあ、そして最後に一番大切なこと!
自分の弾いている音をよく聞いて、粒がそろっているかどうかを自分の耳で確かめてください!!
自分で自分を採点しながらうまくいっていないところを修正していきましょう。
その積み重ねで音の粒をそろえる技術を習得していってください!