様々な運動や動作のタイトルがバーナムピアノテクニックの各曲に付いています。そのタイトルから連想される動作を実際に腕や手首、指を使ってすることで、タイトルに見合った音色や響き、キャラクターを表現するテクニックを学ぶことができます。
今回は「側転運動」(バーナムピアノテクニック1と2より)を取り上げ、
- 分散和音の弾き方
- 左右の手の受け渡し方
- ポジション移動
のテクニックと練習方法について解説します。
ペダルの記号が書いてありますが
最初はペダルを踏まないで練習しましょう!!
今から解説することが手だけできちんとできるようになってからペダルを入れてくださいね。
分散和音
まず和音にしてとらえる
まずはバラバラになっている音(分散和音)を和音にして弾いてみましょう。
赤い丸で囲まれている3つの音を下のように(最初の2小節)和音にして弾き
指に形とポジションを覚えさせます。
このときに必ず
正しい音の上に正しい指を置いてから音を出すこと!!
指使いは絶対に守りましょう!!
一つの和音をひと息で弾く
そして和音でとらえて指を3つまたは4つの音の上に前もって正しく置けるようになったら
この曲は(バーナムピアノテクニック2グループ4 2番)
属七の和音の分散なので
4つの音で一つの和音ね。
音を楽譜に書かれてある通りに一音ずつバラバラに弾いていきます。
和音一つ分の3つまたは4つの音の上に置いた指を鍵盤から離さずに
和音の最初の音(拍の頭)に少し重さをかけて勢いをつけ
一つの和音、1拍分を一息にひとまとめにしていくことが肝要です。
1音1音がコマ送りにならないように
手首の柔軟な動きを使って
(赤線は手首の動かし方です。
最初の音で手首を下げ、下げた状態で次の音の方向に動かしていき、最後の音でふわっとあがってきましょう。)
なめらかなレガートで側転運動のようにスムーズに一気に
回転するように弾いていきます。
指は置いたまま 離れを良くする
音を出した後にも気を付けてください。
ひとまとめになめらかなレガートで弾いては欲しいのですが
弾き終わった指がいつまでも鍵盤の底に残っていては音が重なってしまいます。
音が重なることとなめらかにつなぐことはイコールではありません。
一つ一つの音の受け渡しを丁寧にすることを心がけましょう。
左右の手の受け渡し
側転運動の曲にはペダルマークもついているのですが
最初にも書きましたがまずはそれに頼らずに
左右の手の受け渡しを足に頼らず指だけできれいにできるように練習しましょう。
まるで一つの手で弾いているかのように
継ぎ目なく聴かせたいね~
きれいな受け渡しのためのポイントは
- 次の音を弾くまで前の音の指を鍵盤の底からを離さない(次の音を弾いたら離す)
- 手が変わる時にアクセントをつけない
そして
3. 音が途切れていないか、手の変わり目で音が飛び出していないかよく聞いて確認しながら弾く
ことです。
どんなときも耳をよく使って練習しましょうね。
ポジション移動
和音でとらえたときにそれぞれの手が次にどこに行くかは確認できたと思いますが
音をバラバラにしたときにもう片方の手が最後の音を弾き終わるまでそれまでいた場所で待ってしまい
移動が遅れてしまうことが多いです。
もう片方の手が最後の音までちゃんと弾けるかなと見守る必要はありません。
思いやり不要です。(笑)
それぞれの手が自分の役目が終わったらさっさと次の場所へ行って指を置いて待ちましょう。
(バーナムピアノテクニック1 グループ4 5番)
赤の矢印は左手
青の矢印は右手の動きです。
左から右手に、右手から左手に受け渡しが済んだらすぐに
それぞれの矢印の先に移動して
次の4つの音の上に指をセットしておきましょう。
小節の変わり目では和音と進行方向が変わるので特に要注意よ!
最後の1拍の4つの音はすでに指がセットされているので指を見なくても正しい音をとらえられますから
弾いている間に視線を次の左手のポジションに移し
しっかりと次の場所を目で確認して素早く移動してください。
とにかく前もって次の場所で準備しておくことが大切です。
今弾いている音よりも少し先のことをいつも考えて
指を次の和音の鍵盤の上に置いて
出番が来たらいつでも出られるようにしておくのが大事だよ~。
いろいろな曲で応用
この側転運動のように左右の手で分散和音を弾くパッセージは
さまざまな曲でたくさん出てきます。
❈リスト「エステ荘の噴水」冒頭部分より
❈ラヴェル ピアノ三重奏曲 第4楽章より
バーナムの側転運動はこのような曲の部分を弾く時の基礎になります。
いろいろな曲で応用できるように練習の仕方とテクニックをしっかり身に着けておきましょうね。