ピアノを美しい響きのよい音で弾くためには、良いフォームが欠かせません。また無理がかからず手や体を痛めないためにも合理的で良いフォームを保つ必要があります。今回は音色を決定づける手と指に焦点を当てて、良い音を出すためにどのような手指の形で弾くのがよいのか、なぜその形がよいのかを解説します。
いい手・指の形
指の関節
一音一音をクリアにしっかりとよく響かせ、また音の粒をそろえ音の長さや音量をコントロールするためには各指の関節が凹まず丸くなっていることが必要です。
小さいお子さんの場合まだ関節がしっかりしておらず、鍵盤を弾くときに第1関節が、ときには第3関節も凹んでしまいます。
「どんな指の形でもいい音が出ればいいじゃない」という意見を聞いたことがありますが
指の関節をしっかりさせないまま関節の凹んだ指で弾いていると必ず限界が来ます。
どんどん曲のレベルが高くなって速く弾いたり強い音量が必要になってきたときにうまくコントロールできず
無理やりそのまま弾いているといずれ手や指を痛めることにつながっていきます。
指先を立てて鍵盤をつかむように
例えば左の写真のように机の受けに広げたティッシュペーパーを
指先できゅっとつかんで摘まみ上げる時のような感じで鍵盤をつかんで弾くと
音の輪郭がはっきりして、クリアな発音の音になります。
このとき指の第1関節がまるくなり、指先が立って鍵盤に触れていることが重要です。
手や腕の重さを指先に伝えその重さを支えることがクリアで芯のあるよい響きの音を出すためには必要不可欠だからです。
第1関節が凹んでしまい指の腹で弾いてしまうと鍵盤に触れる面積が広くなり
指にかかる圧力が分散されて力が有効に伝わらず打鍵のスピードが落ちぼやけた響きの音になってしまいます。
あいまいな響きの音色が求められる時もありますがまずは指先でしっかりつかんだはっきりした響きの音を出せるように訓練しましょう。
指先!指先!指先丸くだよ~!
1の指の形・弾く位置
1の指も第1関節を内側に曲げましょう。余計な力が入っていなければ自然と内側に曲がるはずです。
ピンと伸びているならそれは不必要な力が入っている証拠。
そして伸びた親指の第1関節で弾いている人をよく見受けますが
関節で弾いていては音量や音色を思うようにコントロールすることができません。
内側に曲げて親指の爪の横で弾くと1の指のコントロールが容易になります。
1の指が内側に曲がっているかどうか、関節で弾いていないかどうか、常に注意してね。
手首の高さ
手首が高すぎると指がしっかりと鍵盤の底まで沈まず、ふわふわと浮いた頼りない響きの音になってしまいます。
低すぎると、単純に弾きにくいですね。(笑)
腕や手の力を抜いて、ポンッと手を鍵盤の上に乗せた時の高さがちょうど体にとって自然で弾きやすい高さです。
ちょうど白鍵と同じくらいの高さになると思います。
手首は白鍵と同じ高さを目安にしてください。
鍵盤の底まで弾く
いい指の形でしっかり支えのある指にできたら
一音一音指先で鍵盤の底までたどり着いているのを感じ取りながら弾きましょう。
Pでもきちんと鍵盤の底まで弾いてはっきりと響かせること。
様々な曲を弾くようになるとぼやけた音色が求められ鍵盤の底まで弾かない音を出すこともありますが
それはそこまで進んでからの話。
ピアノという楽器をまずきちんと響かせるための指の感覚を習得することが大切です。
良い手・指の形で弾くメリット
手と指を良い形にして弾くとどうなるのかまとめておきます。
デメリットはいい手指の形になるまで先生にしつこく言われて面倒くさいことくらい。(笑)
あとはいいことしかないですよ!
きれいに弾ける
- はっきりと充実した美しい響きの音になる
- 粒がそろう
- 和音の構成音のすべての音が同時にはっきり発音される
- 速く正確に指を動かせるようになる
コントロールが容易になる
- 余計な力が入らず楽にコントロールできる
- 無駄な力が入らないので指や手を痛めない
実際に弾いた感覚や出てきた音を皆さんの耳で確かめてみてぜひ実感してくださいね。
美しいフォームから紡ぎだされる美しい音を知って
常に意識を持って練習することが美しいピアノを弾く近道です。
面倒に感じるかもしれませんが地道に根気よく続けていくことが大切です。
がんばりましょう!!